
写真上は、記者会見で頭を下げるエルピーダメモリの坂本幸雄社長ら (27日午後 東京証券取引所)。 下は広島工場。
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日本唯一の DRAM メーカー エルピーダが会社更生法を申請した。 負債 4,800億円 の巨額なもので製造業としては、過去最大。 昨年来 DRAM 価格が低迷して、赤字続きだったから生き残れるかどうか懸念されていたが、とうとう破綻してしまった。
四半世紀前 80年代において、日本の DRAM 売上が世界の8割を占めたことからすると隔世の感がする。 それほどハイテクの世界は進歩が速い。 その最盛期には、DRAM がないと世界のパソコンメーカーが PC を出荷できないといわれたほどで 高価かつ品薄状態の時代もあった__いや 米国メーカーもインテルをはじめ何社もあったのだが、日本が価格・品質で米国製を凌駕してしまい、専業のマイクロンを除いて全て撤退してしまった。
その意味で、今 韓国メーカーが世界シェアの過半を占めているのは既視感すら感じる。 80年代は円相場が 250~150円/ドル に急激に動いた時期でもあった。 同じドルでも、ざっと今の2~3倍に相当する円の手取りがあった。
日本メーカー (つまりエルピーダ) の DRAM がシェアを落とした理由は様々あるが、まず “三重苦” (長引く円高と価格下落、タイ洪水による PC 出荷低迷 … 日経ビジネス 29日)。 為替レートが 80円を切る円高・1,000ウォンを越えるウォン安に振れた2011年は円の手取りが極端に少なかったのだろう。
DRAM という製品は国際間でドル表示で取引される。 同じ材料費で製造して、工場出荷価格がたとえ同じでも、それが円換算されると手取りはウォンより少ないことは容易に想像できる。
因に 2月前半分の PC 向け 1G bit 品は 0.58ドルで取引されたから、80円/ドル では 46円 となるが、1,125ウォン/ドル では 652ウォン となる。 (80年代のレートはないが) 90年代は 800ウォン前後/ドル だったのが、2000年代は 1,000~1,200ウォン/ドル で推移している。 円為替とは逆の動きだ。
「DRAM 市況が壊滅的な状況の中、唯一の例外が市場シェア4割超を握るサムスン電子で、DRAM 単体の業績は開示していないが、黒字を確保しており、利益率は2ケタともいわれる」(日刊工業 2月2日) そうだから、コスト差は歴然たるものと推測する。
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そして よくいわれるのは、日本製 DRAM の過剰品質だ。 日本製は品質を高めるため 工程数が多く、コスト高となっていたが、韓国や米国は工程数を減らしてコストを下げていた。 エルピーダもかつてよりは工程数を減らしていたのだろうが、追いつかなかったのだろう__「大型コンピューターや旧電電公社の交換機に搭載するために開発され、耐久性などで厳しい仕様が求められた。 対して 後発のサムスンや米マイクロンは最初から PC 搭載を想定し、品質よりコストを重視」(日経 27日) した。
それと、エルピーダの “成り立ち” がそもそも日本の各半導体メーカーの DRAM 部門を統合したもので、DRAM 以外の製品を持たないモノカルチャー製造会社だったから、他の製品で利益を稼ぐという方法が取れなかったのも理由の1つだろう。 他の DRAM メーカーのサムスン、ハイニックス、マイクロンはフラッシュ・メモリも製造している。
更に上げると、高い法人税や、高い人件費、高い土地代などが全てコストを押し上げる要因になっていたはずだ。「坂本社長は『(単体で約 3,200人 いる従業員の) リストラはいまは考えていない』と述べた」(読売新聞 28日) そうだが、実はここにコスト高の最大の原因がある。
“成り立ち” がそもそも日本の各半導体メーカー 日立/ NEC /三菱の DRAM 部門を統合したものだから、統合した時点で重複した部門をどうしたのかは どこのメディアも書いていない。 想像だが、例えば 技術部が3部、開発部が3部、総務部が3部もできてしまったことだろう。 すると、必要経費は普通の会社の3倍かかることになる。
勿論 単純にどの部門も3倍にはしなかっただろうし、統合後にはそれぞれスリム化を図る内部努力をしたものと想像する。 しかし 部長だった3人から1人だけ選んで部長とし、他の2人を部長代理か課長には出来なかっただろう。 肩書きは変わっても、支給する年収は大きく下げなかったと想像する。 こういうことが重なると、年数が経ってもなかなか固定費は減らず いつまでもコスト高が続くことになる。
また納入していた会社も簡単に切れただろうか? それぞれの元会社員が納入会社などに出向などしていると、簡単には切れず いつまでもダラダラと発注することになっていたのではないか?
日産は外国人社長が乗り込んできたから、過去のしがらみがなく、大胆にコストカットできたが、日本人社長は普通 そこまでできないものだ__あとあと恨まれるのを避けるためだ__つまり、「あいつのお陰でクビになった」といわれたくないのだ。
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破綻してしまったからには、負債のかなりの部分の返済からは自由になるだろうから、支援企業にとっては魅力的な投資物件に映るかも知れない。 現に 有利子負債約 4,000億円 (11年12月末) を嫌っていたマイクロンが支援企業として名乗り出る可能性が取りざたされている。
マイクロン傘下となるのか、DRAM 以外の半導体も製造するのか、広島工場を海外企業 (グローバルファウンドリーズ?) に売って それをリース借りして使うのか、どのような形であれ、日本の DRAM メーカーとして存続して欲しいと願いたい。
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影響は、ルネサスエレクトロニクス/富士通/パナソニックの3社が事業統合を検討している システム LSI の分野や、今春に発足するソニー/東芝/日立製作所による 中小型液晶パネル事業の統合会社にも及ぶだろう。 事業に強みを持つ会社の統合ではなく、”弱者連合” だからだ。
これら一連の動きが、日本の電機産業の未来図ではないことを祈りたい。
以上